制御を極める

これまでどこにもない機械を意のままに操るワクワク感
ある大手自動車部品メーカーで自動機の機構設計を行っていた横塚邦元(現社長)が、1988年独立し、創業したのがアポロ技研だが、制御分野で力のある技術者も不可欠ということで引っ張られたのが、同じメーカーに勤務していた板橋だった。
他のメーカーの追随を許さない多軸制御に関しては「匠」の域に達しており、現在はアポロ技研の制御技術部門を統括している。

社長から提示される「難問」に応え続けて技術を磨く

板橋美郎

私は、勤務する工場は違っていましたが、同じ会社にいる横塚邦元という自動機の開発設計者は知っていました。なにしろ、そのメーカーの製造ラインで動く機械の多くを手がけ、機械系の設計者では並ぶ者がなかったからです。
その横塚さんが独立し、自分の会社を立ち上げたのが1988年のこと。それからしばらくして、「制御の手が足らないので、仕事が終わってからでいいので手伝ってくれないか」と私に声がかかったのです。
横塚さんというのは、もちろんいまの社長です。周りからは「伝説の機械屋」などと呼ばれるだけあって、どこからこんな発想が出てくるのかと、いまでもその設計には驚かされていますが、私に与えられた仕事が、そうして設計された機械をいかに制御していくかを考えることだったのです。毎回、毎回難しいパズルの問題を出され、それを必至になってクリアしているうちに、気がついたらアポロ技研の社員になってしまっていたのでした。

板橋美郎

操作性や安全性、使い勝手などを考えるのは制御の仕事

どのような生産設備であっても、現場で実際にものづくりに携わる人たちがフルに使いこなせなければいい設備とはいえません。もちろん機構設計の段階で、操作性や安全性、使い勝手などを考慮して図面を引いていくわけですが、それを現実のものにしていくのが、私たち制御設計を担当する技術者なのです。
たとえば、アクチュエータの細かい動きや微妙なタイミングなどは制御プログラムで決まってきます。また、現場で数値をインプットするタッチパネルの使い勝手なども、私たちのほうでつくり込んでいかなければなりません。
またアポロ技研では、機能をできるだけコンパクトに集約して、外観もすっきりときれいにまとまっているものこそ、本物の生産設備だと考えています。それで加工の速度があがってタクトタイムが短縮できますし、よけいなでっぱりなどがなくてすっきりしていれば、安全性や使いやすさにもつながるからです。そして制御部門もこれを実現するために、いつも必至に努力することが求められているのです。

56個のモータを同時にコントロールする多軸制御

板橋美郎

1998年、国内屈指の電子部品メーカーから発注を受けた自動巻線機は、文字どおりアポロ技研の社運をかけた仕事となりました。1.0ミリのセラミックスのコアにコイルを均等に巻くわけです。開発当初は4個のコアを同時に加工する4連機でしたが、現在はこれが6連となり、機構も全く新しいものになっています。このためメカに負けない制御を実現しなければならず、そのプレッシャーは半端なものではありませんでした。
この6連機で使われるモータの数は18個以上。これらを個別に制御したり、必要な時に任意のモータの同期がとれた形で動かさなければならないからです。通常私たちは、モータの数を「軸」という単位で数えますが、ここで18軸以上の多軸制御技術が求められたわけです。
このため、産業用機械の制御に用いられるPLC(Programmable Logic Controller)に、アポロ技研オリジナルのプログラムを組み込み、この難問にチャレンジしていくことにしました。こうして、ここで培った多軸制御技術がアポロ技研の「お家芸」となり、当社で製作した組立機の中では、1台のPLCでは最多となる56軸という多軸制御にも成功しています。

板橋美郎

旺盛な好奇心でいつも新しいことにチャレンジしていきたい

私は、制御はもちろん機構も含めたメカトロニクス技術全般について自らの技術力を向上させたいと考え、日々努力をしているところです。アポロ技研では、基本的には装置の全体的な構想や機械の動きなどは機構設計者が考え、それを受けて制御の担当者がPLCのプログラムなどを組んでいくわけですが、私も広い視野からいろいろな提案をしていきたいと思っているからです。
また、宇宙をはじめとしたサイエンス全般やエレクトロニクスなどの技術にも、ものすごく興味があり、自分なりに勉強もしています。好奇心は人一倍旺盛なほうだと自認していますが、こんな「何でも知りたい」的チャレンジ魂も技術者として大事な素養ではないかと考えています。